くれおの発達障害ブログ

ADHDと軽度ASDを併発。精神安定のために自分の考えをまとめたりします。発達障害の自分を見つめ直す雑記。

可哀想じゃなくて、ただ困っているだけ 就労支援の所長さんの話

こんにちは! くれおです。☺️

今日はクリスマスイヴですね。
学校も冬休み期間に入ってすでに田舎の地元に帰っているので、家の中で静かに過ごしています。昨日友人に突然遊びに誘われて今日の夜中の1時に家に帰ってきたのですが、いつのまにか空気も澄み渡って、真上に月とオリオン座が見えていて綺麗でした。
周りには誰もいなかったので星を見つめていたのですが、朝昼は天気が悪かったのに、こうやって星が見えると嬉しいものですね。
今年は実家に帰ることができたので、大好きなシャボン玉を買って、小さなクリスマスツリーを玄関に飾って、家族とケーキを食べました。笑

タイトルについてですが、これはわたしが以前通っていた就労支援所の所長さんと話していたときにお互いで挙がった言葉でした。

「可哀想ではなくて、ただ困っているだけ」

世の中には様々な理由で困っている人がたくさんいます。わたしもその一人です。
でもそういう人たちって決して可哀想なわけじゃない。

人間として普通に喜怒哀楽を持って毎日を生きている中で、どうしていいかわからず悩んでいるだけなんだと思うのです。

そこの就労支援所は、様々な境遇の困っている方を受け入れています。
就職に困っている手帳持ちの障害者の方だけではなく、仕事がうまくいかずにやめてしまった方、就労訓練所に毎日通う余裕のない大学生の方などの支援をするための組織をもうひとつ用意しているんです。
手帳持ちであれば就労訓練所などで訓練や相談をすることができますが、手帳を持つほどではないけど困っているというグレーゾーンの方には就労支援は利用できませんよね。

これは国指定の組織ではないのでほんの少しだけお金はかかりますが、困り感が消えない手帳を持たない方や健常者の方のためには良いところだと思いませんか?

本州にはあるようですが、北海道ではそういった組織は珍しいそうで、二つか三つくらいしかないそうです。

「ここに来る人たちは障害者も健常者も関係なく、就職や仕事でのコミュニケーションのあり方などに困っている人たちが来ます」と所長さんがおっしゃっていました。
健常者の方であっても手帳持ちでないグレーゾーンの障害者の方であっても『困り感』を解消できるように対応できるようにしてくださっているのですね。

就労訓練所で毎日訓練する余裕のない学生のわたしにはとても最適でした。(結局地元に戻らなければならなかったので、お試しで数回しか行けなかったのですが……。)

就職に困っている時間のない学生のために、北海道にもこういった就労支援が増えたらいいのにな、と当事者として感じています。

しかし最初は、所長さんがこの事業所を立ち上げた理由を知りませんでした。
逆に、そんなことをすぐ知れるものではないとは思うんですけどね。笑

その理由を知ったのは、大学の学生相談室の方と相談をしていたときでした。
その人は以前から所長さんとのつながりがある方です。
その就労に行ったのも、学生相談室の方がオススメしてくださったからでした。

学生相談室の方が、「実は所長さんの息子さんは重度の自閉症を持っているんだよね」とおっしゃったんです。
その方の話によると、以前まで所長さんは東京外国語大学を卒業して、起業家として活躍していたそうでした。
しかし息子さんが重度の自閉症だとわかり、以前までの仕事を辞めたそうです。かわりに息子さんのために自閉症の勉強を始め、起業家としてのノウハウを生かして北海道に事業所を立ち上げたのだそうです。
息子さんを理解するために自閉症の勉強をして就労所を立ち上げるって、とてもすごいことではないですか?

その話を相談室で聞いたとき、所長さんの物腰の柔らかさを思い出して目頭が熱くなったのを覚えています。
それを聞いたとき、生きている意味を感じていないころでした。
まあ、たいていそんな感じで生きてますけど。笑
自分の思考の不甲斐なさ、やってしまったことの後悔、発達障害であるというコンプレックス、いろいろなことがごちゃ混ぜになって、なにをやっても意味がない、生きている意味などないなんて常々思ってしまうということを相談していたんですね。もちろんこれからの就労についても相談もしていましたが。

けれどその話を聞いて、なんとなく生きる気力が湧いたような、しおれていた心に水が撒かれたような感覚になったのです。

その所長さんはとても物腰が柔らかく謙虚な方です。決して驕らず、わたしの話を真剣に聞いてくださいます。
その優しさの裏には息子さんへの愛があったのだと思うと、希死念慮を感じながらも胸の奥がじんとあたたかくなっていました。

それからまた違う日に所長さんの就労に訪問しました。
そのさいに「発達障害と診断されなくても、困り感は残ったままですよね。わたしは社会的に障害者とみなされず宙ぶらりんになって社会に出るのが怖くて診断に踏み切ったんです」と話を持ちかけましました。
すると所長さんはこのようなことをおっしゃいました。
「そうですよね。ここに来る人は障害者も健常者も区別がなく、ただ困っている人たちがいるというだけです。けれど、手帳持ちでない方は就労を受けることができないので、逆差別のようなものになってしまい、国が用意した就労だけではその困り感をどうすることもできないのですよね。だからだれでも困り感を解消できるようこの組織を作ったんです」

これってとてもありがたいことですよね。
他にも軽作業や診断等をさせていただいたのですが、とても丁寧な対応をしてくださいました。軽作業などを行うことで、ひとりひとりの性格や能力、特徴等を見てくれるのですね。
北海道にはここまで丁寧にやってくれる事業所は少ないそうです。
所長さんには本当に感謝しています。

正しい知識や条件さえあれば、きっとその困り感が多少は消えて、だれもが少しは生きやすくなる。


可哀想じゃなくて、ただ困っているだけ。

では!